マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

もしかしたら現実世界のどこかと繋がっているのではないかと錯覚させるような舞台で

 物語のパターンの1つとして――
 
 物語の舞台を狭く限定的にして――
 そこに多くの人物や出来事を配していく――
 というものがあります。
 
 そうすることで――
 物語は濃密となり、それだけ人々を惹きつける魅力を備えやすくなるのですが――
 
 反面――
 そうした物語は、
 
 ――息苦しい
 
 との印象を与える可能性が高まります。
 
 人は物語に現実逃避の喜びを求めているわけですから――
 この「息苦しい」は、物語の根幹に関わる“致命傷”となりかねません。
 
 そうした“致命傷”と無縁の物語というのは――
 つまり、「息苦しい」との印象を与えない物語です。
 
 それは――
 物語の舞台を広く開放的にするということで実現できます。
 
 物語の舞台が開放的であるということは――
 その舞台が、もしかしたら現実世界のどこかと繋がっているのではないかと錯覚させるような舞台である――
 ということです。
 
 そういう“広大”な舞台に人物や出来事を配し、濃密な物語を仕上げていくのは至難の業ですが――
 物語を作る者の志としては、
 
 ――高い
 
 といってよいでしょう――
 少なくとも、最初から“狭小”な舞台に人物や出来事を詰め込んでいくよりは……。