――肉体美
という言葉が――
好きではありません。
正確には、
――肉体
という言葉が――
苦手です。
……
……
――肉体
には、どこか性的な様相があります。
一般に、
――肉欲
といえば――
性欲ないし情欲のことです。
そこから「肉体」を連想するのは難しくありません。
つまり、「肉体」とは、
――性欲をかきたてる体
という意味に事実上なっているのです。
よって、「肉体美」とは、
――性欲をかきたてる体の美しさ
という意味になります。
……
……
（冗長だな……）
と思います。
……
……
「肉体」に比せられる言葉に、
――身体
があります。
こちらには――
ほとんど性的な様相はなくて――
強いていえば――
科学的な様相が目立ちします。
ここでいう「科学」とは、
――自然科学
――社会科学
――人文科学
の全てを含みます。
よって――
例えば、「肉体美」の代わりに、
――身体美
といったりすると――
（え？ なに？）
という感じになります。
ひどく不釣り合いな印象を受けるのです。
おそらく――
「科学」と「美しさ」との不釣り合いに起因しているのでしょう。
……
……
なので――
――肉体美
ではなく、
――体の美しさ
でよいのではないでしょうかね。
あるいは――
百歩、譲ったとして、
――性欲をかきたてる体
……
……
――性欲をかきたてる体の美しさ
は――
何となく冗長です。
……
……
もちろん――
理屈の上では、わかりますよ。
――性欲をかきたてない体の美しさ
とか、
――性欲をかきたてる体の醜さ
とかも――
なくはない――
が――
（性欲をかきたてるなら、ふつう、その体は美しいんじゃないの）
と――
僕は思います。
