気分の浮き沈みは――
遠い将来――
脳の中の何らかの現象や物質を反映した数値によって記述されるであろう――
ということを――
きのうの『道草日記』で述べました。
その際――
「現象」や「物質」といった従来の概念ではなく――
今の僕らが思いもよらないような新奇の概念が用いられているかもしれない――
とも述べました。
……
……
――新奇の概念
といえば――
おそらく、「現象」や「物質」により先にとって代わられる概念は、
――気分
のほうです。
この概念は――
本来、人の言動の傾向の一要素です。
人の発言や行動に見出せる持続的な特徴――数時間とか数週間、場合によっては、数か月間とか数年間といった一定の期間にわたって持続的に見出せる特徴――です。
気分というのは――
心の働きの一部であり――
その「心」や「心の働き」は今日、学問的には、ほとんど定義されていないに等しい状況です。
つまり――
「気分」も、学問的には、ほとんど定義されていないに等しい――
一応は、
――隠微で持続的な感情
と定義はされていますが――
その内実は、
――日常会話で前提とされている通俗的な意味に基づいているにすぎない。
といって差し支えありません。
そもそも、
――感情
からして――
そんなに厳密には定義されていません。
つまり――
「現象」や「物質」に代わる新概念の登場を期待するよりも前に――
まず、「気分」や「感情」に代わる新概念の登場を期待するのがよい――
ということです。