――約束は、ときには破っても構わない。
と考える人は――
心身ともに余裕のない人であろう、ということを――
きのうの『道草日記』で述べました。
そのような人と関係を保っていくには、どうしたらよいのか――
厳密にいえば――
――約束を守ることが、個人間ないし組織間の関係を良好に保つのに必要だ。
と考える人が、
――約束は、ときには破っても構わない。
と考える人と関係を保っていくには、どうしたらよいのか――
ということです。
難しい問題です。
答えは簡単には見出せません。
が、世の中には、「約束は、ときには破っても構わない」と考える人が、少数派ながらも、実在しますので――
この問題に答えを見出さないわけにはいきません。
僕の見出している答えは、3日前の『道草日記』で述べたように、
――約束の結び直しを地道に促していく。
です。
結んでは破られ、結んでは破られ――
そんな根気のいる対応を継続的に行っていく――
それが、現時点で、僕の見出している答えです。
とはいえ――
そのような対応は、当たり前ながら、忍耐が必要です。
約束を破られる度に、悲しくなったり、腹が立ったりします。
――こんな思いまでして、なぜ関係を保つ必要があるのか。
と、自問したくなることもあるでしょう。
その自問は重要です。
そうやって自問をした結果、
――うむ。たしかに関係を保つ必要はない。
と思えれば、そのときは関係を断てばよいのです。
保つ必要のない関係なら、断ったほうがよいでしょう。
そのほうが、断然お互いのためです。
が――
人の世の中には、
――たとえどんなことがあっても、つねに保っておく必要のある関係
というものが、あるのです。
例えば、
――職業上、保っておく必要がある。
とか、
――縁故上、保っておく必要がある。
とかいった関係です。
そのような関係を保つには、まことに残念ながら、
――結んでは破られ、結んでは破られ――
の“約束の結び直し”を忍耐強く続けていくより、ほかはないのです。
にわかには信じがたい結論ですが――
そのようにして保たれている関係というのが、世の中には実在しています。
僕が具(つぶさ)に知っている例は、医療や福祉の領域でみられるものだけですが――
きくところによれば、政治、経済、教育、学問、芸術など、実に幅広い領域で、同様の例が散見されています。