――哲学は非実学である。
と述べた上で、
――ただし、哲学を実学と捉える向きもある。
ということを、きのうの『道草日記』で述べました。
――いったい、どっちなんだ!
と怒られたかもしれませんが――(笑
僕は、
――結局は、実学の定義の問題であろう。
と考えています。
実学を、
――利益還元を直接の目標にする学問
と定義すれば――
哲学は実学ではありません。
哲学は当座の利益還元にほとんど関心を払いません。
知的好奇心に駆られ、物事を突きつめて考え、それを言葉で表していく――そういう学問です。
が――
利益還元が全く起こらない学問というのは、それが学問である以上――つまり、事実に基づき、論理を組み立て、現象を観察し、ときには実験を行って、何らかの原理を見出していく営みである以上――決して存在しえないわけで――
どんな学問であっても、利益還元の性質は多少なりとも備えています。
その利益還元の性質の強弱のどこに線を引くか――
真ん中の方に線を引けば、それよりも「強い」とされる学問は「実学」とされ、それよりも「弱い」とされる学問は「教養学」ないしは「非実学」とされる一方――
端の方に線を引けば、その線は必然的に「弱い」の極の方に引かれ、その結果、ほとんどの学問が「実学」とされ、「教養学」ないし「非実学」とされる学問は極めて稀少となるのです。
ちなみに――
僕は、わりと真ん中の方で線を引いています。
――端の方で引くべきだ。
と主張する人たちの考えも、わからなくはないのですが、
(それでは、学問の区分が、あまりにもわかりにくくなる)
と、僕は思っております。