いわゆる大学が中世のヨーロッパで産声をあげた頃――学問分野は4つに分かれていたと考えられています。
哲学
神学
医学
法学
の4つです。
これらのうち、「哲学」は、実際には、自由七科のことを指していました――「自由七科」とは、
文法学
修辞学
論理学
算術
幾何
音楽
の7科目です――今日では「教養学」と呼ばれることが多そうです。
中世のヨーロッパでは、
人文科学
社会科学
自然科学
の区分は明瞭ではありませんでした。
むしろ、そのような区分は存在していなかったといってよいでしょう。
代わりに存在していたのが、
哲学
神学
医学
法学
の区分です――「人文科学・社会科学・自然科学」の区分とは、あまりにも違い過ぎて、ちょっと戸惑ってしまいますね。
それでも、ムリに整合をつけようとすれば、例えば、
――哲学の一部と神学の一部と医学の一部とが一緒になって自然科学になり、哲学の他の一部が法学(もしくは、法学の一部)と一緒になって社会科学になり、哲学の残りが神学の一部と一緒になって人文科学になった。
と解釈することはできますが、あまりにも煩雑な主張となりますから、かえって整合性は薄れそうです(苦笑
私事をいえば――
僕は大学で医学を専攻し、今も医学に関わる仕事をしておりますので――
正直にいうと、「人文科学・社会科学・自然科学」の区分は、
(いまいち使い勝手が悪いな)
と思っています――かといって、「哲学・神学・医学・法学」の区分を使い勝手が良いとも思いませんけれど――
以上――
思いつくことを思いつくままに述べてきました。
一つだけハッキリいえそうなことは、
――「人文科学・社会科学・自然科学」の区分は、あくまで便宜的な区分であり、絶対的な区分ではない。
ということです。
それを、僕は、自分が医学を学んできたせいか、人一倍、強く感じます。
このことを、哲学や神学や法学を学んできた人たちに話すと、たいていは共感してくれます。
多分、同じ体験をしているからです。