――“芸術の区分”には、あまり意味がない。
ということを、きのうの『道草日記』で述べました。
その見解を変えるつもりはありません。
が、強いていえば、対象による区分になら、多少なりとも意味があるかもしれません。
つまり、扱う主題の違いによって、芸術を分類するのです。
芸術の扱う主題には様々なものが挙げられますが――
僕は、ある一つだけの主題が、頭抜けていると考えています。
その主題とは、
――恋愛
です。
例えば、恋愛のない小説、恋愛のない歌謡、恋愛のない演劇、恋愛のない映画――
もちろん、そういう小説や歌謡や演劇や映画も数多くありますが――
やはり、恋愛を扱う小説、恋愛を扱う歌謡、恋愛を扱う演劇、恋愛を扱う映画のほうが、ずっと人気があります。
つまり――
僕は芸術を、とりあえず次のように分類するのがよいのではないか、と――
思っているのです。
恋愛芸術
非恋愛芸術
もちろん、これは単なる区分であって――
例えば、
――“恋愛芸術”が“非恋愛芸術”よりも受け入れられやすい。
とか、
――“恋愛芸術”よりも“非恋愛芸術”のほうが高貴である。
とかいうことを意味してはいません。
「空間芸術・時間芸術」の区分があるように、また、「視覚芸術・聴覚芸術」の区分があるように、「“恋愛芸術”・“非恋愛芸術”」の区分が成り立ちうる――
ということです。