意識のことを真剣に考える上で絶対に外せないことがあります。
それは、
――意識の働きには、進化生物学的な観点からの十分に納得のいく説明が必要である。
ということです。
現在のところ――
意識の存在は、人にのみ想定されています。
――犬や猫などの動物にも意識はあるはずだ。
との主張は珍しくありませんが――
少なくとも自然科学的な観点からは、いまだに十分な確認はとれていません。
よって、
――意識の問題は人に固有の問題である。
と考えられがちなのですが――
そうではありません。
人は、
――ヒト
です――「ヒト」という名の生物種の1つです。
そのヒトに想定される機能の1つが、意識の働きですから――
意識の働きは、第一には、生物学の対象となります。
そして――
この地球上に生息し、生息してきた全ての生物は、数億年ないし数十億年の時の流れの中で、少しずつ、
――進化
を遂げてきました。
現在の生物が備えている形態や機能の全ては――
その数億年ないし数十億年の間に起こった進化の結果なのです。
つまり、
――意識の働きは進化生物学の対象でもある。
ということです。
いいかえると、
――現在のヒトが意識を備えている。
ということは、
――ヒトには、意識を備えることで、生存上、何か有利なことがあった。もしくは、少なくとも、著しく不利なこと何もなかった。
ということを説明する必要に迫られる――
ということです。