――風邪ウイルスが、ヒトに対し、少なくとも何らかの“手助け”をしている可能性は高い。
ということを――
3日前の『道草日記』で述べました。
一方――
きのうの『道草日記』では、
――風邪ウイルスがヒトの進化に何らかの寄与をしているかもしれない可能性は、ほとんどない。
とも述べました。
つまり、
――風邪ウイルスは、ヒトに対し、進化とは無関係の観点から、何らかの“手助け”をしている。
ということです。
では――
どんな観点からの“手助け”か――
……
……
常識的に考えれば――
それは、
――免疫の観点からの“手助け”
でしょう。
つまり――
ヒトの個体は、風邪ウイルスに高頻度に感染をすることで――
免疫が恒常的に活性化をされ続け――
そのことが、生物種としての生存に有利に働いた――
ということです。
平たくいえば、
――ヒトは風邪ウイルスによって免疫を鍛えられてきた。
となります。
……
……
いわゆる、
――免疫
は、
――自然免疫
と、
――獲得免疫
とに分けられます。
ごく簡単にいってしまうと――
「自然免疫」とは、個体に侵入してきた病原体を見境なく取り除く仕組みで――
「獲得免疫」とは、個体に侵入してきた病原体を狙いすませて締め出す仕組みです。
――見境なく取り除く。
というのは、
――侵入されたら、その都度、刹那的に取り除く
という意味であり――
――狙いすませて締め出す。
というのは、
――ひとたび侵入されたら、次からは恒久的に締め出す
という意味です。
つまり――
自然免疫では、病原体が記録をされないので、侵入をされる度に、後手に回って対抗をしますが――
獲得免疫では、病原体が記録をされるので、一度、侵入をされたら、次からは先手を打って対抗をします。
自然免疫は、ほぼ全ての生物種にみられる働きです。
進化の観点からいうと、古い仕組みであると考えられます。
一方――
獲得免疫は、ヒトを含む一部の生物種にみられる働きです。
進化の観点からいうと、新しい仕組みであると考えられます。
ここで見過ごせないのは――
獲得免疫を備えた生物種は――
ヒトも含め――
ほぼ“自然免疫”だけで対処をする場合と、“自然免疫”に加えて“獲得免疫”でも対処をする場合との2通りがある――
ということです。
どちらの場合になるかは、病原体の種類によって決まります。
思いっきり大まかにいうと――
細菌のように、わりと大きな病原体に侵入をされる場合は、前者で――
ウイルスのように、わりと小さな病原体に侵入をされる場合は、後者です。
つまり――
ヒトは、ウイルスに感染をすると、細菌に感染をするよりも広範に免疫が稼働をされるのですね。
もちろん――
風邪ウイルスに感染をする場合も、そうです。
よって、
――ヒトは、風邪ウイルスに高頻度に感染をすることで、そのぶん免疫が鍛えられている。
と考えることができます。
つまり――
風邪ウイルスは確かにヒトに“手助け”をしていて――
その内容は、
――免疫を鍛える
である――
ということになります。