新型コロナ・ウイルスは、ヒトにとって新参の風邪ウイルスであり――
それゆえに、この風邪ウイルスに対し、ヒトは免疫的に弱い――
ということを――
きのうの『道草日記』で述べました。
新型コロナ・ウイルスの次に新参の風邪ウイルスは何か――
……
……
おそらくは――
インフルエンザ・ウイルスでしょう。
エボラ・ウイルスやヒト免疫不全ウイルス(エイズ・ウイルス)も、新参ではありますが、かなり風邪とは違った不具合をきたすウイルスですので――
風邪ウイルスに加えることは不適当です。
実は、いつインフルエンザ・ウイルスがヒトの前に現れたのかは――
明確にはわかっていません。
19世紀末頃に欧米で酷い風邪が流行したとの記録があり――
それがインフルエンザ・ウイルス感染症の始まるであった可能性が指摘されています。
ウイルスという概念それ自体が、ようやく20世紀になって確立されましたから――
19世紀以前に遡ってインフルエンザ・ウイルスの起源を探索することは困難です。
ここでは――
一応、インフルエンザ・ウイルスは19世紀末頃に出現したと仮定しましょう。
一方――
新型コロナ・ウイルスが出現したのは、2019年ですが――
新型コロナ・ウイルスは、いわゆる重症急性呼吸器症候群関連コロナ・ウイルスに近いとみなされていますので――
これらを区別しなければ、出現したのは2003年ということになります。
つまり――
インフルエンザ・ウイルスが出現した約 100 年後に、新型コロナ・ウイルスが出現したことになります。
そして――
もう一つ興味深いのが――
病原性の強さです。
ここでいう「病原性」とは、ヒトの体に与える負の影響の程度のことです。
致死率の高低や症状の強弱、あるいは、回復にかかる日数の多少などを象徴的に表す概念とします。
21世紀前半の今日――
病原性について、インフルエンザ・ウイルスと新型コロナ・ウイルスとを比べたときに――
どちらが、より強いのか――
答えは、あきらかに、
――新型コロナ・ウイルス
です。
新型コロナ・ウイルス感染症は、先月まで元気であった人が「あっ」という間に亡くなりうる病気です。
インフルエンザ・ウイルス感染症でも大勢の人たちが亡くなっていますが――
先月まで元気であった人が「あっ」という間に亡くなるというのは、新型コロナ・ウイルス感染症ほど多くはありません。
よって――
病原性については、あきらかに、
新型コロナ・ウイルス > インフルエンザ・ウイルス
といえます。
が――
これは、あくまでも21世紀前半の時点で比べての話です。
もし、20世紀前半のインフルエンザ・ウイルスと21世紀前半の新型コロナ・ウイルスとで比べたら、どうでしょうか。
1918年に始まったスペイン風邪の猛威を考えますと、
――甲乙つけがたい。
というのが公平な見方であるように思います。
スペイン風邪では、元気であったはずの若年層で大量の死者が出ました。
もちろん――
当時は抗菌薬などがなく――
また、それら死者の8割くらいはインフルエンザ・ウイルス感染症に続発した細菌感染症で命を落としていた――
と考えられていますので――
単純な比較はできませんが――
――だいたい同じくらいの病原性なのではないか。
と――
僕は考えます。