マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

ロックダウンが困難な理由

 疫病では、

  A:疫病による直接の変化

  B:疫病の制御に好都合な反応

  C:疫病の制御に不都合な反応

 の3つを混同しないことが大切だということを――

 きのうの『道草日記』で述べました。

 

 このことに留意をして――

 いわゆる、

 ――ロックダウン(lockdown)

 について考えてみましょう。

 

 この言葉は、日本語圏では、しばしば、

 ――都市封鎖

 と言い換えられますが――

 とくに都市に限った話ではありませんので、単に、

 ――封鎖

 と言い換えるのが適切でしょう。

 

 が――

 このように言い換えたところで、わかりやすくなるわけではありません。

 

 まずは、「ロックダウン」という言葉が本来、日本語にはなかったことを十分に踏まえることが必要でしょう。

 

 では――

 英語の「lockdown」は、どのような意味でしょうか。

 

 例えば、

 ――An official order to control the movement of people or vehicles because of a dangerous situation.

 と説明をされます。

 直訳をすると、

 ――危険な状況のために、人や車の動きをコントロールする公共の秩序

 です。

 意訳をすれば、

 ――公共の秩序をもうけ、人や車の移動を制限し、危険な状況に備えること

 でしょうか。

 

 疫病についていえば――

 その「危険な状況」とは、

 ――感染の拡大、感染死の増加

 です。

 

 これは――

 冒頭に掲げた3つ、

  A:疫病による直接の変化

  B:疫病の制御に好都合な反応

  C:疫病の制御に不都合な反応

 のうちのAに相当します。

 

 よって――

 ロックダウンとは、とりあえず、

 ――Aに対してBを狙って行われること

 といえます。

 

 が――

 しばしば指摘をされるように――

 Bを狙ってロックダウンを行っても、Cをきたしてしまうことが避けられません――ときには、Bを上回る規模のCをきたしかねない――

 例えば、人々の不満がたまり、治安が乱れるだけでなく、暴動が発生するなどして、かえって感染が広がり、感染死が増えてしまう、ということにもなりかねない――

 

 よって――

 ロックダウンの実施を安易に考えることはできません。

 

 日本の法律では、ロックダウンが想定されていないそうですが――

 以上のことを踏まえれば――

 そのことに一定の合理性は感じとれます。