マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

今日の進化生物学における「進化」

 ――風邪ウイルスは、新・風邪ウイルスとしてヒトの前に出現をし、ヒトへの感染を繰り返す中で、しだいに古(こ)・風邪ウイルスへと変化を遂げ、やがて、ヒトの生殖細胞に感染をすることで、ヒトの進化に何らかの影響を及ぼす。

 という空想について――

 きのうの『道草日記』で述べました。

 

 ……

 

 ……

 

 ――空想

 と述べましたが――

 すべてが荒唐無稽というわけではありません。

 

 ウイルスが生殖細胞に感染をすることで、その生物種の進化に何らかの影響を及ぼしうることは――

 今日の進化生物学のおいても、真剣に議論をされているところです。

 

 今日の進化生物学における主流の考えによると、

 ――進化

 とは、

 ――生物種の進化は、その生物種を司る遺伝子が変異を起こし、その変異が、自然淘汰や乱雑浮動の影響を受けつつ、子孫へ受け継がれていくことで起こる。

 とされています。

 

 遺伝子が起こす変異については――

 主に2つの現象が想定をされています。

 ――突然変異

 と、

 ――水平伝播

 との2つです。

 

 ――突然変異

 というのは、

 ――遺伝子を担う物質に起こる確率的な変化

 です。

 遺伝子を担う物質も、この世界に存在をする全ての物質がそうであるように、不変に永続をすることはありえない、ということです。

 

 一方、

 ――水平伝播

 というのは、

 ――ウイルスが感染をすることで起こる変化

 です。

 ウイルスのもっている遺伝子が生殖細胞のもっている遺伝子の一部として挿し込まれ、それが子孫へ伝わる、ということです。

 

 遺伝子の変異は、以前は、突然変異のみで説明をされていましたが――

 突然変異だけでは、生物種の特徴が一変をするような“劇的な進化”を説きにくいので――

 ウイルス感染による水平伝播との相乗効果が想定をされるようになったようです。

 

 たしかに――

 生物学的な常識論と照らし合わせると――

 このような相乗効果は、

 ――何となく、ありえそう――

 といえます。

 

 ちなみに――

 そうした遺伝子の変異に影響を与えるとされる2つの現象、

 ――自然淘汰

 や、

 ――乱雑浮動

 についても説明をしておきますと――

 

 ――自然淘汰

 というのは、世界の変化に適応をしえた個体が生き残って子孫を残すという現象で、

 ――乱雑浮動

 というのは、相異なる遺伝子をもった個体の割合が確率的に変動をするという現象です。

 

 遺伝子の変異に影響を与える現象として、以前は、自然淘汰のみが想定をされていましたが――

 必ずしも適者だけが生存をし、不適者だけが死滅をするわけではなく、それら生存や死滅は偶然の要素によっても規定をされていると、みなすほうが自然である――

 と考えられるようになったようです。

 

 こうした考えも――

 生物学的な常識論に照らし合わせると、

 ――いかにも正しそう――

 といえます。