マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

ウイルスは生命なのか、生命でないのか

 ――ウイルスは、生命ではないが、生命体ではある。

 と――

 きのうの『道草日記』で述べました。

 

 これは――

 いいかえると、

 ――ウイルスは、生きてはいないのだが、「生きている」という状態に移行しうる物質である。

 ということです。

 

 いま、

 ――「生きている」という状態に移行しうる

 と述べました。

 

 厳密には、

 ――「生きている」という状態にある細胞に組み込まれうる

 というほうが正しいでしょう。

 

 ウイルスは、文字通り、

 ――細胞に組み込まれる

 のです。

 

 ウイルスは、細胞の内部に入ると、自分の体をバラバラにし、細胞の内部に放り出してしまうのです。

 ここでいう、

 ――自分の体

 とは、いわゆる、

 ――ウイルス粒子

 のことです。

 大きさ0.01~1μm(マイクロメートル)の袋の中に遺伝情報を担う物質が納まっている様子を思い浮かべればよいでしょう。

 まさに、それは、

 ――粒子

 と呼ぶにふさわしい体(てい)を成しています。

 

 が――

 その粒子状の体が、細胞の内部に入ると、消えてなくなったようにみえるのですね。

 

 バラバラになって細胞の内部に放り出されるからです。

 「生きている」という状態にある細胞の内部に、

 ――溶け込む

 といってもよいでしょう。

 

 このことを重くみるならば、

 ――ウイルスは、生命ではなく、また、生命体でもなく、生命体の一部にすぎない。

 といえます。

 

 が――

 話は、ややこしいのです。

 

 バラバラになって細胞の内部へ放り出されたウイルスが――

 その後も、ずっと放り出されたままならば、

 ――ウイルスは生命体の一部にすぎない。

 といってよいでしょう。

 

 が――

 実際には――

 細胞の内部に放り出されたあと――

 ウイルスは細胞に自分の子孫を残させるのですね。

 

 当然――

 その子孫は、再び、

 ――ウイルス粒子

 の体(てい)を成し――

 今度は、細胞の外部へ飛び出ていきます。

 

 このような現象について、つぶさに考えますと、

 ――ウイルスって、いったい何なんだ?

 との疑問は膨らむばかりです。

 

 ――生命

 でもなく、

 ――生命体

 でもなく、

 ――生命体の一部

 でもない――

 

 ――生命体と非生命体との中間体

 あるいは、

 ――半生命体

 とでも呼びたくなります。

 

 ――ウイルスは生命なのか、生命でないのか。

 との議論は――

 ここ100年くらい、ずっと続いています。

 

 ――ウイルス

 という概念が学術的に確立をされた20世紀前半以降――

 議論は膠着しているのです。 

 

 今後も――

 科学者たちの間で、しばらくは論争が続くと考えられます。