マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

進化をやや厳密に論じる上での約束事

 ――まず先に細胞が出現をし、次にウイルスが出現をした。

 と、今日、多くの科学者たちが考えている――

 ということを、きのうの『道草日記』で述べました。

 

 ――まず先にウイルスが出現をし、次に細胞が出現をした。

 と考える科学者は、そんなに多くはない、と――

 

 ……

 

 ……

 

 以上のことを、もう少し厳密にいおうとしますと――

 きのうの『道草日記』でも述べたように――

 以下の通りとなります。

 

     *

 

 多くの科学者たちは、

 ――A1:細胞が、細胞であり続けるのに必要な最小限の遺伝情報を捨て去ることで、ウイルスへ進化を遂げた。

 か、

 ――A2:細胞の体の一部が、細胞の遺伝情報の一部を伴って体から飛び出すことで、ウイルスへ進化を遂げた。

 かのどちらかと考えていて、

 ――B:ウイルスのうち、1つだけ細胞へ進化を遂げたものがあり、他は全てウイルスへ進化を遂げた。

 と考えている科学者は、そんなに多くはない――

 

     *

 

 ……

 

 ……

 

 実は――

 こうしたいい方でも、まだ厳密さに乏しいのです。

 

 一般に――

 生命の進化をやや厳密に論じようとすると――

 どうしても、言葉遣いが複雑になってしまう傾向があります。

 

 どういうことか――

 

 ……

 

 ……

 

 冒頭で述べたことを、さらにもう少しだけ厳密にいおうとしますと――

 以下のようになります。

 

     *

 

 多くの科学者たちは、

 ――A1:“細胞とウイルスとの共通祖先”が、“細胞とウイルスとの共通祖先”であり続けるのに必要な最小限の遺伝情報を捨て去ることで、“ウイルスの祖先”へ進化を遂げた。

 か、

 ――A2:“細胞とウイルスとの共通祖先”の体の一部が、“細胞とウイルスとの共通祖先”の遺伝情報の一部を伴って体から飛び出すことで、“ウイルスの祖先”へ進化を遂げた。

 かのどちらかと考えていて、

 ――B:“細胞とウイルスとの共通祖先”のうち、1つだけ“細胞の祖先”へ進化を遂げたものがあり、他は全て“ウイルスの祖先”へ進化を遂げた。

 と考えている科学者は、そんなに多くはない――

 

     *

 

 ……

 

 ……

 

 何がいいたのかといいますと――

 

 ――現代の地球上に存在をしている細胞やウイルスが、太古の地球上においても、同じように存在をしていたわけがない。

 ということです。

 

 太古の地球上において――

 もし「細胞」や「ウイルス」と呼びうるものが存在をしていたとしても――

 それは、

 ――細胞の祖先

 もしくは、

 ――ウイルスの祖先

 と呼ぶべきものであり――

 もし、それが細胞かウイルスかさえ判然としないのであれば、

 ――細胞とウイルスとの共通祖先

 と呼ぶべきである――

 ということです。

 

 このような言葉遣いは、ひとたび、その約束事が共有をされた上でなら、そんなに煩雑には感じられないのですが――

 その約束事が共有をされずに、いきなり用いられたりすると――

 けっこう煩雑に感じられるものです。

 

 ――些事

 といえば、些事ですが――

 

 ちょっと気をつけなければなりません。