――ウイルスの起源は1つではない。
ということを――
きのうの『道草日記』で述べました。
――細胞の起源は、どうやら1つらしいのだが、ウイルスの起源は、どうも1つではなく、幾つかあるらしい。
と――
……
……
このことを踏まえると――
少し興味深いことが思い浮かびます。
――系統樹
のことです。
――系統樹が、細胞では1つしか描けないが、ウイルスでは幾つか描ける。
ということです。
ここでいう「系統樹」とは――
進化を考える上で頻繁に用いられる模式図のことです。
共通祖先が根本にあって、そこから子孫が枝葉を広げるように広がっていく樹木のような模式図を指します。
だいたい次のような図です。
V V V V
V V V
V V
V
この「系統樹」を念頭に置きながら、
――細胞とウイルスとの関係
について――
あらためて考えてみましょう。
ここで留意をしたいのは、
――細胞の系統樹
は1つしかないが、
――ウイルスの系統樹
は幾つかある――
という点です。
すると――
まず、
――細胞とウイルスとの関係
が2つの場合に分けられそうだ――
ということに気づきます。
A:1つしかない“細胞の系統樹”の枝の幾つかに、幾つかの“ウイルスの系統樹”が接ぎ木をされている。
B:幾つかある“ウイルスの系統樹”のうちの1つに、1つしかない“細胞の系統樹”が接ぎ木をされている。
Aの場合は――
“ウイルスの系統樹”が幾つかあるというのは、見かけ上のことであって――
実際には、幾つかある“ウイルスの系統樹”の全ては“細胞の系統樹”の一部にすぎないのだが、現代の科学技術では、そのことを明らかにできない――
という場合です。
Bの場合は――
“細胞の系統樹”が1つしかないというのは、見かけ上のことであって――
実際には、幾つかある“ウイルスの系統樹”の全てが“細胞の系統樹”と根源的には同等なのだが、現代の科学技術では、そのことを明らかにできない――
という場合です。
ここでいう「現代の科学技術」とは――
きのうの『道草日記』で述べたように、
――細胞やウイルスがもっている遺伝情報を照らし合わせる。
という技術――遺伝情報の観察技術――を指します。
Aの考え方は、ウイルスが、「生きている」という状態にある細胞の内部に組み込まれる理由をよく示します。
が、
――では、なぜ、そのまま組み込まれ続けないのか。
の問いには答えません。
一方――
Bの考え方は、ウイルスが、「生きている」という状態にある細胞の内部に組み込まれ続けない理由をよく示します。
が、
――では、なぜ、組み込まれることになったのか。
の問いには答えません。