マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

象徴天皇制は日本史の理に適っている

 日本国憲法が掲げる象徴天皇制は――

 徳川幕府が完成形に導いた、

 ――権威と権力との分離

 を奇妙なくらい正確に受け継いでいるのではないか――

 ということを、きのうの『道草日記』で述べました。

 

 日本国憲法については――

 様々な議論がありますね。

 

 ――太平洋戦争に敗れてアメリカに押し付けられた憲法だ! 恥ずべきだ!

 という人がいれば、

 ――第二次世界大戦終了当時の最先端の理念が織り込まれた素晴らしい憲法だ。 

 という人もいます。

 

 日本国憲法の成立の過程を辿ると――

 どちらの見方にも理があるように思われます。

 

 簡単に結論を出すことはできません。

 

 が――

 こと象徴天皇制に限っていえば、

(日本列島における過去2000年ほどの政治史の流れを、これほど自然に受け継いだ制度は他に見当たらないのではないか)

 と思えるほど理に適っている、と――

 僕は思います。

 

 これは――

 決してアメリカが押し付けた政体――政治の体制――ではありません。

 

 アメリカが追認をし、勧奨をしたという面は否めませんが――

 アメリカの当局者たちが自分たちの価値観に基づいて編み出したアメリカ流の政体というわけではありません。

 

 また――

 これは――

 決して当時の最先端の理念というわけでもありません。

 

 理念として明示をされ、共有をされた点は前衛的ですが――

 過去2000年ほどの――とりわけ建武政権の頃から現代に至るまでの700年ほどの――試行錯誤が導いた理念です。

 

 この象徴天皇制を――

 明治政府が確立をした立憲君主的な天皇制と比べて、

 ――異様だ。

 という人が、もし、いたとしたら――

 その人は、

 ――日本列島における過去2000年ほどの政治史の流れをよくわかっていない人

 といってよいのではないでしょうか。