――死んだ後の者と生まれる前の者とが同じ世界を分け合っている。
というところに、いわゆる輪廻転生的な世界観の本質があるのではないか――
ということを、きのうの『道草日記』で述べました。
こう述べたときに――
僕の念頭にあったのは――
いわゆるチャリティーソングとして2012年に発表をされた、
――花は咲く
の歌詞です。
(この歌は、輪廻転生的な世界観で歌われている)
そう直感をしました。
――花は咲く
は、2011年に起こった東日本大震災の復興支援のために制作をされました。
作詞は映画監督の岩井俊二さんです。
歌詞の視点は、おそらく震災で亡くなったであろう人です。
震災で亡くなる前の自分や自分の周囲を懐かしむ心情が語られています。
まさに、
――亡くなった人に語らせる。
の外連(けれん)です。
が――
この歌のことを悪くいう人は少数です。
多くの人々に受け入れられています。
被災をした東日本に限らず、日本全国・世界中で受け入れられています。
なぜか――
おそらく――
この歌が、
――死者の世界に閉じているから――
です。
実は――
この歌には、様々な解釈がなされています。
なかには、
――死者と生者とが呼びかけ合っている。
という解釈もあります。
あるいは、
――震災で亡くなった人、震災で生き残った人、震災のことを遠方で気にかけていた人――あらゆる人たちが共感をしうる歌詞になっている。
という解釈もあります。
が――
僕は、
(そうじゃないんじゃないか)
と思っています。
(この歌は、あくまで震災で亡くなった人の視点で書かれている)
と――
つまり、
――死者の世界に閉じている。
と――
(輪廻転生的な世界観に基づき、死んだ後の人が生まれる前の人に向って「いつか君のために花は咲くのだよ」と呼びかけているのではないか)
と――
そう思っているのです。