――“太陽文明”を築き上げるくらい知的生命体はともかく、“銀河文明”を築き上げるくらいの知的生命体は、僕らによって「生命」とはみなされえないであろう。
ということを、きのうの『道草日記』で述べました。
このことは――
少なくとも部分的には、
――フェルミの逆説(Fermi paradox)
の説明となりえます。
――フェルミの逆説
とは――
イタリア出身の物理学者エンリコ・フェルミが1950年に提唱をしたとされる逆説です。
曰く、
――宇宙の寿命の長さと恒星の個数の膨大さとを考えたときに、我々以外にも知的生命体が存在をしていないはずはなさそうなのに、なぜ我々は彼らに出会えていないのか。
との疑問に集約をされます。
この疑問には色々な答えが出されているのですが――
それら答えのうちの1つが、
――我々は未だ“地球文明”の段階にとどまっているために、我々と出会いうる知的生命体は、“銀河文明”を築き上げたような我々よりも 1 億 ~ 3 億年は進んでいるような知的生命体だけであるが、彼らは、我々によって「生命」とは、とうていみなされえないために、我々は彼らに出会えていないのである。
というものです。
いってみれば、
――池沼に暮らす単細胞生物のゾウリムシが、池沼の畔を訪れたヒトに接触をしても、そのヒトを自分たちと同じ「生命」とはみなしえないために、ゾウリムシはヒトには出会えない。
ということです。
ここでいう「ゾウリムシ」は、“地球文明”の段階にとどまっている僕らのことで、「ヒト」は、“銀河文明”を築き上げた知的生命体のことです。
が――
もちろん、ヒトはゾウリムシに出会えてはいます。
僕らは、ゾウリムシを、僕らと同じ「生命」とみなしています。
おそらく――
同じようなことが、“地球文明”にとどまっている僕らと“銀河文明”を築き上げた知的生命体との関係にもいえます。
僕らは彼らに出会えませんが――
彼らは僕らに出会えるのです。