マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

“フェルミの逆説”は逆説か、逆説でないか

 ――フェルミの逆説(Fermi paradox)

 の議論は、

 ――この宇宙において知的生命体が誕生をする確率

 および、

 ――この宇宙において知的生命体が存在をしうる惑星の個数

 の見積もりの考察に収斂をしていく――

 ということを、きのうの『道草日記』で述べました。

 

 ――この宇宙において知的生命体が誕生をする確率

 は、主に生物学・化学の領域で論じられ、

 ――この宇宙において知的生命体が存在をしうる惑星の個数

 は、主に物理学・地学の領域で論じられます。

 

 ――フェルミの逆説

 が提示をされたのは――

 6月6日の『道草日記』で述べた通り――

 1950年頃と考えられています。

 

 以後――

 先に目覚ましい進展を遂げたのは物理学・地学でした。

 

 それらの進展を背景に、

 ――この宇宙において知的生命体が存在をしうる惑星の個数

 が積極的に見積もられ、

 ―― 10 万

 とも、

 ―― 1,000 万

 ともいわれてきました。

 

 この見積もりは、物理学や地学の目覚ましい進展により、何となく権威づけがなされ――

 それなりに正しい値であると信じられるようになりました。

 

 よって、

 ―― 10 万 ~ 1,000 万個もあるならば、我々以外の知的生命体が誕生をしていても全然おかしくはあるまい。

 との憶測が広まりました。

 

 が――

 その後、物理学や地学に遅れて、生物学や化学(とくに、生物学と密接に関わる領域の化学)が進展をしてきて、

 ――生命体の誕生は、物理学や地学に強い関心のある人たちが思うほどに起こりやすい事象ではないかもしれない。

 との憶測が広まりました。

 

 つまり、

 ――知的生命体が誕生をする確率はもちろん、生命体が誕生をする確率は、それを掛け合わせることで 10 万 ~ 1,000 万の値を簡単に 1 以下にしてしまうくらいに小さな値かもしれない。

 ということです。

 

 要するに、

 ―― 10 万 ~ 1,000 万 分の 1 を遥かに下回る確率

 ということですね。

 

 よって――

 21世紀序盤の現時点では――

 物理学や地学に強い関心のある人たちは、概ね、

 ――“フェルミの逆説”は逆説である。

 つまり、

 ――我々以外の知的生命体が我々と出会っていないのは奇妙なことである。

 と考える傾向にあり――

 生物学や化学に強い関心のある人たちは、概ね、

 ――“フェルミの逆説”は逆説ではない。

 つまり、

 ――知的生命体は我々以外に存在をしていないと考えるのが妥当である。

 と考える傾向にあるようです。