マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

追いかけるのではなく、待ちかまえる

 自然科学の研究を志すのなら、

 ――ブレイクスルー(breakthrough)を追いかけるのがよい。

 ということを、きのうの『道草日記』で述べました。

 

 が――

 多くの自然科学者たちは、

 ――ブレイクスルーを追いかけるのは現実的ではない。

 と考えています。

 

 次のブレイクスルーが、自然科学のどの領域で起こるかを嗅ぎ分けるのは――

 とても人間業ではないからです。

 

 では、どうするか――

 

 ……

 

 ……

 

 一つは、

 ――パラダイム・シフト(paradigm shift)

 を追いかける――

 

 が――

 これだと、自然科学の発展のテンポに1つ分くらい遅れることになります。

 

 よって――

 結果として、自然科学の研究の現場からは離れることになりがちです。

 

 例えば、科学哲学の研究者や科学史家、科学ジャーナリスト(science journalist)といった立場に変わることになります。

 

 では――

 あくまでも自然科学の研究の現場にとどまるには、どうしたらよいでしょうか。

 

 ……

 

 ……

 

 それは、

 ――ブレイクスルーを待ちかまえる。

 でしょう。

 

 ――追いかける

 ではなく、

 ――待ちかまえる

 です。

 

 どんな領域でもよいから、まずは自然科学の領域に飛び込んでみる――

 そして、その領域での常識や前提を知り、かつ、その領域での実験や観測の技術に慣れる――

 そうしているうちに、その領域や、その領域の周辺の領域で、ブレイクスルーが起こるのを待ちかまえる――

 そういうことです。

 

 たいていは――

 自分の飛び込んだ領域ではなくて、その周辺の領域で――しかも、そんなに人々の関心を集めてはいないような領域で――

 ブレイクスルーは起こります。

 

 それが起こったら――

 それを見逃すことなく、確実に気づくようにする――そして、その領域に、できる限り早く飛び込み直す――

 そうすることで、人は自然科学の発展に寄与をしうるのです。