マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

元俳優であるからこそ――

 ――ウクライナ政府が瞬時の瓦解を免れたのは、これ以上はないくらいにトップが有能で誠実であったからである。

 ということを――

 きのうの『道草日記』で述べました。

 

 ウクライナ政府のトップ(大統領)は、ウォロディミル・ゼレンスキーさんですね。

 

 1978年1月生まれの44歳なのだそうです。

 

 もともとは俳優でいらっしゃいました。

 

 主役としてウクライナ大統領を演じられたコメディーのTVドラマが、国民的な人気を博し――

 その傑出の好感度を活かして政界に転じ――

 2019年のウクライナ大統領選挙で勝利を収められました。

 

 こうした経歴は――

 ロシア軍によるウクライナ侵攻が苛烈さを増し始めた今でこそ、世界中で広く知られていますが――

 侵攻前の2月中旬頃までは、少なくとも日本国内では、ほとんど知られていなかったと思います。

 

 少なくとも僕は知りませんでした。

 

 (こんな人がいるんだ)

 と舌を巻きました。

 

 こうしたゼレンスキーさんの経歴を知って、

 ――元俳優なのに、逃げずに戦っていて、凄い。

 との声が上がっているようですが――

 僕は、

 (元俳優であるからこそ、組織のトップとして、どのように観られるかに敏感で、どのように振る舞えば支持を集められるかに熟知をしていた)

 と考えています。

 

 俳優とは、ある目的の下に、人に観られながら振る舞い続けていく仕事ですから――

 当然なのです。

 

 しかも、ただの俳優ではありませんでした。

 国民的な人気を博したTVドラマの主役を務めた俳優です。

 

 TVドラマで主役を演じる俳優は、監督や製作者とは違った意味で、トップの役割を負います。

 

 よって――

 ゼレンスキーさんは、ウクライナ大統領の地位に就く前から、組織のトップとしての誠実さと有能さとを兼ね備えていらしたに違いないのです。

 

 5日ほど前――

 日本の報道TV番組に駐日ウクライナ大使の男性がスタジオ出演をされていました。

 

 番組の途中でゼレンスキーさんが、ロシア軍に立ち向かう主旨で演説をされている動画が放映をされると――

 それをスタジオでご覧になっていたのでしょう――両目を真っ赤に涙ぐませながら、微笑んでいらっしゃいました。

 

 ゼレンスキーさんが、組織のトップとして、心から敬愛をされていることは――

 疑いようがありませんでした。