マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

ウクライナ政府は、なぜ瞬時の瓦解を免れたのか

 ――組織はトップ次第で、どうにでもなる。

 と、よくいわれます。

 

 このことが最も明瞭かつ劇的に示されたのが――

 今回のロシア政府によるウクライナ侵攻でした。

 

 当初――

 ロシア政府は、軍を動かせば、ウクライナ政府は瞬く間に瓦解をすると考えていたようです。

 

 ロシア政府だけではありません。

 世界中の報道機関が、そのように考え、そのように報じていました。

 

 実際に――

 そうなる可能性は極めて高かったと思います。

 

 が――

 そうはならなかった――

 

 ウクライナ政府は、軍を筆頭に、あらゆる政府機関に統制をかけ、死に物狂いの抗戦を行っています。

 戦力で遥かに優勢であるはずのロシア軍は、侵攻開始後――ロシア政府のいう「特別軍事作戦」の開始後――1週間が経っても、首都キーウ(キエフ)に攻め入れずにいます。

 

 ウクライナ政府の組織力の強さが十全に発揮をされた結果と考えられます。

 

 その様子は――

 2021年8月に、当時のアフガニスタン政府が瞬く間に瓦解をしたこととは実に対照的でした。

 

 なぜ――

 ウクライナ政府は、大方の予想に反し、瞬時の瓦解を免れたのか――

 

 答えは明らかです。

 

 ウクライナ政府のトップ(大統領)――ウォロディミル・ゼレンスキーさん――の指導者としての力量および人柄です。

 

 侵攻時、ロシア政府はウクライナ政府の体制転覆を公然と狙っていました。

 ウクライナ政府の首脳部にいる人たちは、自分がロシア軍の殺害の標的になっていることを悟ったはずです。

 その中でも一番の標的は、ウクライナ政府のトップであるゼレンスキーさんであったことは、疑いようもありませんでした。

 

 猛烈な恐怖を感じられたことでしょう。

 

 その恐怖に打ち克って、最後まで現場に踏みとどまる覚悟をお決めになった――たとえ、「最後まで」が「最期まで」になろうとも――

 

 ……

 

 ……

 

 戦争の勃発を防げなかったという意味で――

 ゼレンスキーさんに政治的な瑕疵がなかったとはいえません。

 

 政治家としては厳しい批判を浴びる余地があります。

 

 が――

 組織のトップ(指導者)としては、おそらく、これ以上はないくらいに有能で誠実です。

 

 もし、ゼレンスキーさんがロシア軍の侵入に怯えて逃亡を図っていたら――

 ウクライナ政府は、2021年8月当時のアフガニスタン政府と同じ末路を辿ったことでしょう。

 

 あのとき――

 アフガニスタン政府のトップは、敵軍による首都包囲を受け、逃亡をしました。