マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

条件付きの永遠平和なら――

 18世紀プロセインの哲学者イマヌエル・カント(Immanuel Kant)は、

 ――太古の昔、個人が国家を作って互いに殺し合わないで済むようになったように、現代以降、国家が平和連合(foedus pacificum)を作って互いに戦い合わないで済むようになることは、自明である。

 と考えることによって、

 ――永遠平和(ewigen Frieden)

 は、自然の摂理によって実現が保証をされているとの結論にいったようである――

 ということを、きのうの『道草日記』で述べました。

 

 このカントの思考の過程と結論とについて――

 僕は、

 (思考の結論には同意できるが、思考の過程には同意できない)

 と思っています。

 

 その「思考の結論には同意できる」というのも――

 条件付きです。

 

 その条件とは、

 ――永遠平和

 を、

 ――地球上では戦争が永遠に起こらなくなること

 と読みかえれば――

 というものです。

 

 実は――

 この、

 ――地球上では――

 というのが肝心でして――

 

 ――地球外では戦争が起こりうる。

 ということです。

 

 どういうことか――

 

 おそらく――

 皆さん、すぐにおわかりかと思います。

 

 ……

 

 ……

 

 僕は――

 もし、地球外知的生命体の存在が確認をされれば――

 そして――

 その存在が、地球上の全ての国家にとって、安全保障上の脅威となりうることが判明をすれば――

 その地球外知的生命体との間では戦争は起こりうるが――

 地球上では永遠に起こらなくなる――

 と考えています。

 

 つまり、

 ――――太古の昔、個人が国家を作って互いに殺し合わないで済むようになったように、現代以降、国家が平和連合を作って互いに戦い合わないで済むようになることは、自明である。

 というのは誤りであり、

 ――地球外知的生命体の存在が脅威がなりうることが判明をすれば、太古の昔、個人が国家を作って互いに殺し合わないで済むようになったように、地球上の全ての国家が平和連合を作って互いに戦い合わないで済むようになることは、自明である。

 というのが正しい――

 ということです。

 

 条件付きの永遠平和なら――

 地球外知的生命体の脅威が地球上の全ての国家で共有をされさえすれば――

 たちどころに訪れるでしょう。

 

 ただし――

 その場合には、地球外知的生命体との戦争は避けられそうにもありませんので――

 

 ――無条件の永遠平和

 は、

 ――夢のまた夢

 になっているでしょう。