マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

虫好きの姫にはシベリア大陸が似合う

 中国大陸とシベリア大陸と――

 いったい、どちらが虫好きの姫の活躍を呼び込めるのか――

 ということを、きのうの『道草日記』で述べました。

 

 ――虫好きの姫

 というのは――

 短編物語集『堤(つつみ)中納言物語』の一編、

 ――虫愛づる姫君

 の主人公のことです。

 

 ――虫愛づる姫君

 は日本列島の平安後期を舞台にしていると考えられています。

 

 この頃の中国大陸は、漢民族の国家が、満洲地域に興った異民族の国家によって、南方へ押しやられつつある時代です。

 

 一方――

 この頃のシベリア大陸については、いわゆるシベリア先住民が暮らしていたと考えられること以外は、これといって特記をすることがありません。

 

 さて――

 中国大陸とシベリア大陸と――

 どちらが虫好きの姫の躍動を導き出せるのか――

 

 ……

 

 ……

 

 普通に考えれば――

 シベリア大陸でしょう。

 

 何といっても――

 この頃のシベリア大陸のことは、そんなに詳しくわかっていない――

 

 詳しくわかっていないということは――

 空想で補う余地が十分にあるということです。

 

 一方――

 この頃の中国大陸のことは、かなり詳しくわかっています。

 

 つまり――

 空想で補う余地がない――

 実際の歴史で補ってやる必要がある――

 

 実際の歴史では――

 虫好きの姫の性質は同時代の人々に理解をされませんでした。

 

 それは日本列島の歴史について、いえることですが――

 中国大陸の歴史についても、おそらくは似たようなことがいえるでしょう。

 

 11世紀から12世紀の中国大陸で虫好きの女性の性質が重宝をされていたという史実があるとは思えません。

 

 よって――

 虫好きの姫、中国大陸においても、基本的には日本列島にいたときと同じような扱いを受けるはずです。

 

 が――

 シベリア大陸では、どうか――

 

 11世紀から12世紀のシベリア大陸では――

 もしかしたら、虫好きの女性の性質が、どういうわけか重宝をされていたかもしれない――

 

 例えば――

 当時のシベリア大陸では、虫との意志疎通が可能とされる女性が社会の指導的な地位にあったかもしれない――

 

 そんな空想を持ち込める余地がある分――

 虫好きの姫が活躍をしそうな舞台は、中国大陸ではなく、シベリア大陸である――

 といえるでしょう。

 

 虫好きの姫にはシベリア大陸が似合います。