マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

虫好きの姫と武家の棟梁との関係は?

 短編物語集『堤(つつみ)中納言物語』の一編、

 ――虫愛づる姫君

 の主人公・虫好きの姫は、

 ――武家の棟梁

 と出会って、旅立って――

 

 九州の地で蝗害(こうがい)に遭い――

 持ち前の虫好きの性質を活かして――

 その蝗害の根源的な原因を突き止めるべく、朝鮮半島を渡って中国大陸へ赴く――

 

 という物語がよいのではないかということを――

 きのうの『道草日記』で述べました。

 

 虫好きの姫が中国大陸へ赴くならば――

 当然、しかるべき協力者が必要です。

 

 九州地方の出身者だけでなく、朝鮮半島や中国大陸の出身者が、虫好きの姫に強力な支援を行うでしょう。

 

 では――

 せっかく出会った武家の棟梁との関係は、その後どうなるのか――

 

 ……

 

 ……

 

 おそらく――

 武家の棟梁には棟梁としての様々な責任が伴いますから――

 虫好きの姫に付いて一緒に中国大陸へ赴くということはありえません。

 

 つまり――

 虫好きの姫にとって、武家の棟梁と出会い、京の都を旅立つことが重要なのであって――

 武家の棟梁との関係それ自体が重要なのではないのですね。

 

 そんな虫好きの姫の自由闊達な思想を――

 武家の棟梁は、どのように捉えるでしょうか。

 

 もし――

 これを、

 ――許せない。

 と思う狭量な棟梁であれば――

 虫好きの姫と深刻な対立を起こすでしょう。

 

 そして――

 物語に主要登場人物として関わることはなくなります。

 

 場合によっては――

 虫好きの姫か、その協力者らの手で殺められるのかもしれない――

 

 もし――

 これを、

 ――面白い!

 と思う大器の棟梁であれば――

 虫好きの姫との関係は、その後も長続きをするでしょう。

 

 むしろ、虫好きの姫の協力者の筆頭格として――

 その後も物語に主要登場人物として顔を出し続けるはずです。