マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

恋と愛との違い

 ――恋愛(れんあい)の気持ち

 の中心に、

 ――恋(こい)

 がある――

 と、きのう、のべました。

 

 いいかえると、

 ――愛

 は、

 ――恋愛の気持ち

 の中心にはない――

 ということです。

 

 ――愛

 は、

 ――恋

 の周辺にあります。

 

 では――

 

 ――恋

 と、

 ――愛

 とは、たがいにどのような関係にあるのでしょうか。

 

 ……

 

 ……

 

 ――恋

 というのは、かなり強くて、かたい気持ちです。

 

 ――あの人と、いつまでも一緒(いっしょ)にいたい。

 と熱く燃(も)え上がる火のような気持ちです。

 

 これに対し、

 ――愛

 は、わりと弱くて、やわらかい気持ちです。

 

 ――あの人のことをいつまでも大切にしよう。

 と温かく包みこむ粘土(ねんど)のような気持ちです。

 

 熱く燃え上がる火のような気持ちを、温かい粘土のような気持ちで包みこんだものが、

 ――恋愛の気持ち

 なのですね。

 

 ただし――

 その“火”は、目にはみえないのです――みえているのは“粘土”だけ――

 

 ここに、

 ――恋愛の気持ち

 の難(むずか)しさがあります。

 

 ――火

 は、

 ――無意識(むいしき)

 ですから――

 そこにあることに、なかなか気づけない――

 

 ――粘土

 は、

 ――意識(いしき)

 ですから――

 そこにあることには、すぐに気づけます。

 

 だから、

 ――恋愛の気持ち

 を、ただの温かい“粘土の塊(かたまり)”であると思ってしまう人が、とても多いのですね。

 

 ――恋愛の気持ち

 を“粘土の塊”と思っているうちは、

 ――恋と愛との違い

 は決してわかりません。

 

 ――この“粘土の塊”の中で“火”が燃えている。

 と思うようになって初めて――

 人は、

 ――恋と愛との違い

 がわかるのです。

 

 『10 歳の頃の貴方へ――』