マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

なぜ「異常」が先で、「正常」が後か

 ――異常心理(いじょうしんり)

 とは、

 ――心の働き

 が、

 ――ありふれていない。めずらしい。

 ということであり、

 ――正常心理(せいじょうしんり)

 とは、

 ――心の働き

 が、

 ――ありふれている。めずらしくない。

 ということである――

 と、きのう、のべました。

 

 ところで――

 ぼくは、まず、

 ――異常心理

 のことをのべて――

 その次に、

 ――正常心理

 のことをのべましたね。

 

 なぜ、

 ――異常

 が先で、

 ――正常

 が後か、わかりますか。

 

 ――正常

 が先で、

 ――異常

 が後のほうが、よさそうですよね。

 

 ……

 

 ……

 

 実は、

 ――心理(しんり)

 のことは、よくわかっていないので、「異常」を先にしたのです。

 

 ――心理

 とは、

 ――心の働き

 であると、のべてきました。

 

 それは、その通りなのですが――

 

 では、

 ――心

 とは、いったい何でしょうか。

 

 ……

 

 ……

 

 この問いに答えるのが――

 実は、かなりむずかしいのです。

 

 ――体

 とは何か――

 なら、まだ答えようがあります。

 

 ――これです。これが私の体です。

 と答えることができます。

 

 ――体

 は目に見えるからです。

 

 が、

 ――心

 は目に見えません。

 

 だから、

 ――これです。これが私の心です。

 とはいえないのです。

 

 ……

 

 ……

 

 ――心とは何か。

 という問いは――

 実は――

 何千年も前から――

 この世の学者たちをなやませつづけてきた大問題です。

 

 ――心

 のことが、よくわからないのですから――

 

 ――心の働き

 のことは、もっとよくわかりません。

 

 そんな、

 ――心の働き

 のことを指して、ひとまず、

 ――心理

 と、よんでいるのですね。

 

 そのように、よくわからないことについて考えるときには、

 ――正常

 よりも、

 ――異常

 に注目をするほうが、いくらか、わかりやすくなる――

 ということが――

 古くから知られています。

 

 だから――

 ぼくは、まず、

 ――異常心理

 のことをのべたのです。

 

 『10 歳の頃の貴方へ――』