マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

ほかに良い方法があれば……

 ――正常(せいじょう)な“心の働き”

 には、

  知覚(ちかく):感じとること

  思考(しこう):言葉を使うこと

  感情(かんじょう):気持ちが変わること

  意欲(いよく):やる気になること

  知能(ちのう):むずかしい言葉をすばやく複雑(ふくざつ)に使えること

  記憶(きおく):そのときのことをあとあとまで覚えておくこと

 などがあり――

 これらは、すべて、

 ――“心の働き”の異常(いじょう)

 に注目をすることで、よくわかる――

 と、きのう、のべました。

 

 例えば――

 心に何らかの病気があると――

 

 感じとるはずがないことを感じたり――

 言葉をおかしく使ったり――

 気持ちが不自然に変わったり――

 やる気になりすぎたり、やる気にならなかったり――

 簡単(かんたん)な言葉をゆっくりにしか使えなかったり――

 そのときのことをあとあとまで覚えていられなくなったり――

 するのですね。

 

 そのような病気の症状(しょうじょう)をくわしくみることで――

 病気がないときに、人の心は、どんなふうに働いているのかが、よくわかるのです。

 

 とはいえ――

 こうした、

 ――異常な“心の働き”

 から、

 ――正常な“心の働き”

 を思いえがいていくやり方には、限界(げんかい)があります。

 

 いつまでたっても、

 ――心の働き

 の全体が、よくわからないのです。

 

 ――心の働き

 の、ごく一部分だけが、とぎれとぎれに、わかるだけなのですね。

 

 ですから、

 ――異常から正常を思いえがく

 というのは、ほかに良い方法がないときに、仕方がなく取り入れる方法であり――

 ほかに、もっと良い方法があれば、すぐに捨ててしまったほうが良い方法である――

 といえます。

 

 『10 歳の頃の貴方へ――』