マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

そのカンちがいをしてしまう理由

 ――好きになれそうにないこと

 や、

 ――どうしても好きになれないこと

 であるにもかかわらず――

 なぜか、

 ――好きになれそうなこと

 と思いこんでしまう――

 

 そういうカンちがいをしてしまうことがありうる――

 と、きのう、のべました。

 

 なぜ――

 そんなカンちがいが起こるのでしょうか。

 

 ……

 

 ……

 

 実は――

 自分の親や兄弟(きょうだい)姉妹(しまい)にとっての、

 ――ものすごく好きなこと

 を――

 つい、自分にとっての、

 ――好きになれそうなこと

 と思いこんでしまいがちなのですね。

 

 とくに――

 親や兄弟姉妹と仲が良い人ほど、注意が必要です。

 

 例えば――

 もし、あなたが、お父さんと仲良しで――

 しかも、お父さんにあこがれていて――

 そのお父さんは、

 ――体を動かすこと

 が、ものすごく好きである――

 としましょう。

 

 そのような場合に――

 あなたは、つい自分も、

 ――体を動かすこと

 が、ものすごく好きである――

 と、カンちがいをしてしまいがちなのですね。

 

 しかも――

 そうしたカンちがいは、ほかならぬ、お父さんが後(あと)おしをしてしまいがちなのです。

 

 親というのは――

 自分が好きなことを自分の子どもが好きになってくれると――

 わけもなく、うれしく思うものなのですね。

 

 ――おお! そうか、そうか。お前も体を動かすのが好きなのか。さすがはお父さんの子どもだなぁ。

 などといって、すっかり喜(よろこ)んでしまう――

 

 ……

 

 ……

 

 そんなふうに、お父さんが喜んでいるものだから――

 

 あなたは、何だか、とても良いことをしているような気持ちになって――

 ますます、

 ――体を動かすこと

 に関心を向けるようになる――本当は、大して好きでもないのだけれど――

 

 ……

 

 ……

 

 こうして――

 あなたは、本当は、大して好きではない、

 ――体を動かすこと

 について――

 何となく、

 ―― 10,000 時間の壁(かべ)

 をこえようと、中途半端(ちゅうとはんぱ)に、がんばってしまう――

 

 そのうちに――

 あなたは、何となく、

 ――体を動かすこと

 が、自分にとっての、

 ――好きになれそうにないこと

 ないし、

 ――どうしても好きになれないこと

 であると、わかりはじめるのですが――

 

 すっかり喜んでいるお父さんの手前――

 なかなか本当のことがいいだせない――

 

 ……

 

 ……

 

 そのうちに、

 ――いや、ちがう。本当は“体を動かすこと”が好きなんだ。だって、あのお父さんの子どもだもの。

 と自分自身にいいきかせはじめてしまう――

 

 ……

 

 ……

 

 こうして――

 あなたは、

 ――好きになれそうにないこと

 や、

 ――どうしても好きになれないこと

 を、

 ――好きになれそうなこと

 と思いこんでしまうのですね。

 

 『10 歳の頃の貴方へ――』