マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

生きるか死ぬかの問題が運・不運の問題になっているとは?

 もし、あなたが、人の世の中で、だれからも助けてもらえなくなったら――

 あなたは生きていけない――

 と、きのう、のべました。


 少なくとも――

 生きるか死ぬかの問題が、純粋(じゅんすい)に運・不運の問題になってしまう――

 と――

 

 ……

 

 ……

 

 生きるか死ぬかの問題が運・不運の問題になっているとは――

 どういうことでしょうか。

 

 ……

 

 ……

 

 それは――

 例えば、

 ――無人島で一人で生活をしている。

 ということを考えれば――

 ある程度(ていど)は、わかります。

 

 無人島では――

 だれからも助けてもらえませんね――ほかに人がいないのですから、当然です。

 

 このような場所では――

 食べ物や飲み水が見つかるかどうか、あるいは、あぶない動物に襲(おそ)われないかどうかは――

 だいたいは運・不運の問題です。

 

 運が良ければ――

 食べ物や飲み水は見つかるし――

 あぶない動物にも襲われない――

 

 運が悪ければ――

 食べることも飲むこともできずに――

 あぶない動物に追いまわされる――

 

 そんな生活が何日もつづけば――

 よほど運に恵(めぐ)まれつづけないかぎり、いずれは命を落とすことでしょう。

 

 このような生活は――

 人の世の中の生活ではありません。

 

 無人島は――

 人の世の中ではないのです。

 

 人の世の中でなければ――

 あなたは、だれかに助けてもらう必要はありません。

 

 つまり――

 あなたは、だれからも助けてもらう必要はなく――

 だれとも気持ちを分かち合ったり損得を分け合ったりする必要はなく――

 また――

 だれとも、

 ――人と人との関係

 を結ぶ必要はありません。

 

 つまり――

 あなたは完全に自由に生きていけるのです。

 

 もちろん――

 よほどの運に恵まれて、しかも、ありったけの知力や体力をふりしぼらなければならないでしょうが――

 

 少なくとも――

 そのような生活を送るのであれば、

 ――人と人の関係

 などは、どうでもよいのですね。

 

 が――

 

 人の世の中というものは――

 無人島とは、わけがちがうのです。

 

 人の世の中では――

 食べ物や飲み物をかんたんに手に入れることができるし――

 あぶない動物に追いまわされるようなこともない――

 

 お金(かね)をもってお店へ行けば――

 食べたり飲んだりはできるし――

 お家(うち)に入ってカギをかければ――

 安心をして休むことができます。

 

 つまり――

 生きるか死ぬかの問題が、たんなる運・不運の問題になったりはしない――

 

 ただし――

 1つだけ条件(じょうけん)があるのです。

 

 それは、

 ――だれかに助けてもらう必要がある。

 という条件です。

 

 この条件を受け入れて――

 あなたは、人の世の中において、何十人、何百人といった人たちと、

 ――人と人との関係

 を結ぶ必要があるのです。

 

 『10 歳の頃の貴方へ――』