マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

約束事:自然の影響を直接には受けない

 人工物であろうと、なかろうと――

 自然の環境(かんきょう)の中にあるものは――

 いずれも、自然から直接の影響(えいきょう)を受けるので――

 どれも自然の一部である――

 と、きのう、のべました。

 

 では――

 自然から直接の影響を受けないものが――

 何か、あるのでしょうか。

 

 ……

 

 ……

 

 あります。

 

 ――社会

 です。

 

 より正しくいえば、

 ――人と人とによって取りかわされている約束事

 です。

 

 この“約束事”は――

 自然の影響を直接には受けません。

 

 例えば、

 ――学校

 という“約束事”は――

 何時間も大雨がつづいたり、何か月も雨がふらなかったり、何回も大きな地震(じしん)がくりかえし起こったりしても――

 これといった変化が生じるわけではありません。

 

 ――学校

 に大きな水たまりができたり、ヒビがわれたり――

 あるいは、

 ――学校

 が崩(くず)れたり、その破片(はへん)が重力を受けたりはしないのですね。

 

 それが、

 ――社会

 です。

 

 大きな水たまりができたり、ヒビがわれたりするのは、

 ――「学校」と呼ばれている場所

 であり――

 崩れたり、その破片が重力を受けたりするのは、

 ――「学校」と呼ばれている建物

 であるのですね。

 

 ところで――

 

 ……

 

 ……

 

 ――社会

 というのは、

 ――人の世の中

 のことである――

 と、9月15日に、のべました。

 

 そして、

 ――社会

 とは、

 ――ある約束事を取りかわしている人たちが集まって生きている様子

 とも、のべました。

 

 つまり、

 ――人と人とによって約束事が取りかわされているところ

 が、

 ――人の世の中

 である――

 ということです。

 

 ここで、

 ――人

 という言葉に、あえて意識(いしき)を向けないようにすると――

 どうでしょうか。

 

 ……

 

 ……

 

 ――約束事が取りかわされているところ

 が、

 ――世の中

 である――

 と、なりますね。

 

 つまり、

 ――世の中は約束事が全て――

 ということです。

 

 こうした見方は――

 ある意味で、真実の一部をあきらかにしてはいるのですが――

 

 もし、あなたが――

 こうした見方しかできなければ――

 ある大切なことを見落とすことになります。

 

 それは――

 ぼくらは人である前にヒトであり、社会に生きている前に自然に生きている――

 ということです。

 

 ここでいう、

 ――ヒト

 とは、

 ――生き物としての人

 という意味です。

 

 『10 歳の頃の貴方へ――』