――算数
では、
――数
と、
――形
との両方をあつかうけれども――
――形
は、
――数
として、あつかうこともできるので――
――算数
という教科は、中学校や高校では――
例えば、
――数形学(すうけいがく)
とかではなくて、
――数学(すうがく)
と呼(よ)び方を変える――
と、きのう、のべました。
……
……
このように、のべると、
――では、なぜ算数で、わざわざ形のことを習うのか。形も、けっきょくは数としてあつかうことができるのであれば、初めから数のことだけを習えばよいではないか。
と、ふしぎに思う人もいるでしょう。
実際(じっさい)に、「数のことだけで十分――」と考えて――
形のことをほとんどあつかわない教材――算数や数学の教材――というのがあります。
が――
今のところ、そういう考え方は、めずらしく――
少なくとも日本の小学校では、
――算数の授業では、数のことだけでなく、形のことも習う。
という仕組みになっています。
なぜ、そのような仕組みになっているかというと――
――形としてあつかうほうが、数としてあつかうよりも、簡単(かんたん)になることが多くあるから――
です。
たしかに――
とても難(むずか)しい形をあつかうときには――例えば、あまりにも複雑(ふくざつ)で、わかりにくくて、考えにくい形をあつかうときには――その形を数としてあつかうほうがよいのですが――
やさしい形をあつかうときには――例えば、わりと単純(たんじゅん)で、わかりやすくて、考えやすい形をあつかうときには――その形は形のままであつかうほうがよいのですね。
よって――
少なくとも日本の小学校の算数の授業では――
数のことだけでなく、形のことも習う仕組みになっているのです。
『10 歳の頃の貴方へ――』