脳(のう)にとっての、
――算数・数学の役割(やくわり)
は4つある――
と、きのうまで、のべてきました。
1)脳の働きを通して世界の仕組みを知る。
2)脳の働きを文字や数字や記号で表す。
3)脳の働きのターゲットを特定の情報(じょうほう)に限(かぎ)る。
4)脳の働きを通して脳の働きの仕組み自体を知る。
の4つです。
これら4つ以外にも、まだ他に役割はあると思いますが――
とりあえず、すぐに思いつくのが、これら4つなので――
今は、これらに絞(しぼ)って、のべようと思います。
これら4つの役割、
1)脳の働きを通して世界の仕組みを知る。
2)脳の働きを文字や数字や記号で表す。
3)脳の働きのターゲットを特定の情報に限る。
4)脳の働きを通して脳の働きの仕組み自体を知る。
のうち――
1)4)と 2)3)とでは――
おそらく、かなり意味が違(ちが)ってきます。
1)4)は、
――脳が世界や脳それ自体のことを知るためには、算数・数学が必要である。
という意味です。
いいかえるなら、
――脳が世界や脳それ自体のことを知るためには、算数・数学を“道具”として使う必要がある。
ということです。
要するに、
――算数・数学は、脳にとっての“道具”の役割をはたしている。
ということですね。
これに対し――
2)3)は、
――脳の一部分だけが働くようにして残りの部分は休むようにする。
という意味です。
いいかえるなら
――脳の働きが散らばったり広がったりしすぎないように“枠組(わくぐみ)”をはめる。
ということです。
要するに、
――算数・数学は、脳にとっての“枠組”の役割をはたしている。
ということですね。
――脳の道具
か、
――脳の枠組
か――
もちろん――
どちらも脳にとっては、とても大切であるはずで――
その“道具”的な側面だけに注目をしても――
その“枠組”的な側面だけに注目をしても――
脳にとっての、
――算数・数学の役割
を正しく知ることはできないでしょう。
――算数・数学は“脳の道具”である。
とか、
――算数・数学は“脳の枠組”である。
とかといった途端(とたん)に――
わすれ去られる何かがあるはずです。
『10 歳の頃の貴方へ――』