マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

匈奴(1)

 ロシア平原とモンゴル高原とは、ほぼ一つの草原として、繋がっている。

 

 その草原は――

 英語で、

 ――Eurasian Steppe

 と呼ばれる。

 

 日本語でも、カタカナ語として、

 ――ユーラシア・ステップ

 と呼ばれることが多い。

 

 ――ステップ(steppe)

 とは、

 ――大草原

 くらいの意だ。

 

 つまり――

 英語の、

 ――Eurasian Steppe

 を日本語に訳すなら、

 ――ユーラシア大草原

 がよい。

 

 この大草原のどこかに帝国が出現をし――

 その政権が隆盛を大いに極めれば――

 その版図の内にロシア平原とモンゴル平原とが併せて組み込まれうることは――

 必然であった。

 

 人類史上――

 そのような帝国でありえたのは、唯一モンゴルのみであるが――

 

 モンゴル以外にも候補はあった。

 

 それら候補の中で有力なものの1つに、

 ――匈奴

 がある。

 

 ユーラシア大草原の東部――モンゴル高原――で暮らしていた遊牧民たちの部族の連合体だ。

 紀元前4世紀の終盤から紀元1世紀の終盤にかけ、人類史に名を留めている。

 

 この部族の連合体が――

 紀元前3世紀の終盤から紀元前2世紀の序盤にかけ、帝国と化した。

 

 自分たちに刃向かう遊牧民たちを全て追い払い、ユーラシア大草原の東部を統べた。

 その余勢を駆って、中国大陸の方へと南下をし、農耕民たちの国家を脅かした。

 

 有名な、

 ――万里の長城

 は、中国大陸の農耕民たちがモンゴル高原遊牧民たちの侵入を防ぐために築き始めた城壁である。

 

 『随に――』