――エントロピー(entropy)
は、19世紀、ドイツの物理学者ルドルフ・クラウジウス(Rudolf Clausius)やオーストリアの物理学者ルートヴィヒ・ボルツマン(Ludwig Boltzmann)らによって導入をされた。
S = k ln W
と表される。
S はエントロピー、k はボルツマン定数(Boltzmann constant)、ln は高校の数学で学ぶ自然対数、W は状態の場合の数である。
ここでいう、
――ボルツマン定数
とは、高校の理科で学ぶ気体定数を、やはり高校の理科で学ぶアボガドロ定数(Avogadro constant)で割った値である。
物質量が 1 モルの気体――理想気体――に当てはまる状態方程式は、
P V = R T
であり、P は気体の圧力、V は気体の体積、R は気体定数、T は温度――絶対温度――である。
――物質量が1モル――
とは、原子や分子がアボガドロ定数の個数だけ集まるときの量である。
アボガドロ定数は、
6.02 × 10^23
という膨大な数である。
また、
――状態の場合の数
とは、自然界のある部分について、その部分に満たされているエネルギーが一定の時に、その部分に存在をする原子や分子などが呈しうる状態の数である。
状態の場合の数 W は、呈しうる状態の数であるから、その逆数は、その状態が実際に呈される確率 p とみなせる。
p = 1 / W
である。
一方――
20世紀、アメリカの電気工学者・数学者クロード・シャノン(Claude Shannon)が導入をした、
――情報の量
は、
S = − ln p
で表される。
S = − ln p
⇔ S = ln 1/p
⇔ S = ln W
であるから――
シャノンの“情報の量”は、クラウジウスやボルツマンらのエントロピーと、ほぼ同一である。
違いは――
大雑把にいえば――
ボルツマン定数が掛かっているか否かや――
状態が出来事に結び付けられるか否か――
など、些事である。
『随に――』