美人顔というのは、平均的な顔なのだそうで――
つまり、
――超美人
というのは、世の中の全女性の顔を数値化し、平均値をとった顔――ということになります。
――どうやって顔を数値化すんだ?
という疑問は措いておいて――
とにかく、偏差値50の顔が、
――超美人
ということですよ。
偏差値75以上の顔が美人というわけではない――
それどころか、偏差値75も25も一緒なのですね。
偏差値50の超美人の顔から同じ分だけ離れている、という意味において、一緒なのです。
もちろん、美人顔にも個性はあります。
が、その個性というのは、偏差値50.2とか49.7とかいった程度の個性なのでしょう。
平均との僅かなズレが「美人顔の個性」となるわけです。
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以上は、お遊びの議論です。
女性の顔を数値化するなど、たいていの男にとっては、虚しい作業に違いありません。
だいたい、美人顔を、映像や写真などでマジマジとみても、それが「平均的な顔」とは、とても思えないのですね。
だから、この手の議論を、僕は歯牙にも掛けてこなかったのですが――
マンガに描かれる女性の顔に限ってみれば、
美人顔 = 平均的な顔
の図式は、意外にシックリと納得できます。
強烈な個性を放つ巨匠の「美人」は、なぜか、あまり美人とは感じられないのです。
巨匠のマンガ家は「美人」のつもりで描いている――それは間違いないのですが、でも、さして美人とは思えない――
絵の個性が「美人」を美人でなくしているのでしょうね。
真の巨匠に美人は描けない――何とも逆説的で面白い結論です。