安倍内閣が発足した。
組閣人事が発表されるや否や、報道機関を中心に、
――論功行賞
との見方が強まった。
自民党の総裁選で一早く安倍支持を打ち出したメンバーや、父親の代からの側近議員が抜擢されたからだ。
当の安倍首相は、当然「論功行賞」を否定する。
就任後の記者会見では、
――結果を出すために人事を行った。
と発言した。
民主党が代表選挙後の党内不和を沈静化できずに、早々と執行部を交代させた事例がある。
二の舞は避けたいはずだ。
もちろん、結果は出さねばならぬ。
内閣なのだから当然である。
本当は、それ以上の何かを、打ち出さねばならなかった。
が、安倍首相は政治家歴13年と比較的、経験が浅い。
手堅く及第点を狙う姿勢は仕方あるまい。
安倍首相は良い意味でも悪い意味でも「2代目」総理大臣である。
「初代」小泉総理大臣の跡目を、いかに受け継ぐか――そうした文脈でのみ、価値を問われる。
少なくとも、以後数カ月は、そうであろう。
前首相の真似は期待できぬ。
個性が異なる。
それ以上に異なるのは、期待される役割だ。
――創業は易く、守成は難し。
という。
安倍内閣は守成にあたる。創業に邁進すれば良かった小泉内閣とは出発点が異なる。
世間の目も、より厳しくなるだろう。
鍵となるのは――
自民党内の目よりも、国民の目を気にすることができるかどうか――
歴代の総理・総裁が犯してきた過ちを繰り返さずに済むかどうか――
その辺だろう。