建前の奥に本音が透けてみえる人と――
そうでない人とがいますね。
本音が透けてみえる人というのは――
本音の中核の部分に私心が入り込んでいるからでしょう。
ということは――
本音が透けてみえない人というのは――
本音のいかなる部分にも私心が入り込んでいないのです。
本音の全てが無私の心で成っている――
「私心」というのは、たぶんドス黒く濁っています。
そして――
「無私の心」というのは、たぶん清く透き通っている――
本音も建前も、ガラス細工の入れ物です。
どちらも基本的には透き通っている――ただ、本音の周りに建前が飾られてあるだけ――
「ガラス細工の入れ物」ですから――
いつも丹念に磨いていれば、これは透き通るのですね。
が――
その入れ物の中身まで透き通らせることはできません。
濁ったものは濁ったまま――
濁ったものを混入させないように、ただひたすらに注意をしているしかありません。
万一、混入させてしまったら、即、掻き出すまで――
本音が透けてみえない人というのは――
建前も透けてみえないのは、もちろんのこと――
本音と建前とから成る「ガラス細工の入れ物」に、ドス黒く濁った私心を混入させない人のことです。