みるからに風格のある人――
というのを、ときどきみかけます。
たいていは年配の方です。
よくお話を伺ってみると――
相応の地位についている方が多いのですね。
それも短期間ではなく――
長期間です。
1~2年ではなく、最低でも5~6年――ときには10年、20年――
そういう方々のことを思うと、
――地位が人を作る。
というのは、まぎれもない真実なのであろうと感じます。
が――
どうしても不思議に思うのですよね。
――なぜ、地位が人を作りうるのか。
と――
つまり――
社会的に重要な地位に長く就いている人には、なぜ風格が備わるのか――
ということです。
実は――
この問題を考えるときに、忘れてはならないことがあります。
それは、
――社会的に重要な地位に長く就いている人の中にも、まったく風格の備わっていない人がいる。
という点です。
そういう人には2種類あります。
一つは、社会的に重要な地位に長く就いていても、その責任を十分に果たしていない人――
こういう人に風格が備わっていないのは――
まあ、当然ですよね――少なくとも、そんなに不思議ではない――
問題なのは、もう一つ――
社会的に重要な地位に長くついていて、その責任を十分に果たしていて、周囲から深く尊敬されているにもかかわらず、まったく風格が備わっていない人――
例えば――
すごく有能で人格者でもある社長さんが、初対面の人には、なぜか必ずといってよいほど、社長さんとは認識されない――
一介の事務員とみられたり、清掃員とみられたり、警備員とみられたり――
こういう人のことを考えると――
一概に「地位が人を作る」とはいえないと思うのです。
地位は関与しているのかもしれませんが――
地位以外の何かも関与していると考えるのが自然でしょう。