――暇で暇で何もすることがない。
というのは――
その「暇で暇で……」を体感していない人にとっては、
――なんて素敵な贅沢だ!
と思えるのですが――
現在、体感している最中の人――あるいは、かつて体感し、辟易とした経験がある人――にとっては、
――なんて退屈な苦行だ!
と思えるものです。
その「暇で暇で……」が想像の産物であれば、こんなに光り輝くことはないのですが――
ひとたび、実在の現物となれば、そこにはドス黒い霧が垂れこめているのですね。
おそらく――
人は、
――暇になりたい!
と強く願いながら――
それでも日々、忙しく立ち働いているのが――
いちばん幸せなのです。