この国の少子化の原因は、結局のところは、晩婚化および非婚化にある――
という話を耳にしました。
もちろん、ほかにも――
出産や育児の社会環境が十分に整っていないからだ、とか――
個々の人生観や家庭観が多様化してきているからだ、とか――
さまざまな原因が考えられるのですが――
結婚をしている男女の出産の頻度は、今も昔も、とくに変わりはないそうです。
つまり――
仮に個々の人生観や家庭観が多様化してきているにせよ――
人は、ひとたび結婚をすれば、今も昔も、とくに変わらず子を成そうとする――
よって――
少子化の原因は、少なくとも直接的には、晩婚化および非婚化なのであり、それ以外には考えにくい――
という理屈です。
(たしかになぁ)
と、頷ける理屈ですが――
それで――
ふと思ったことは、
――恋愛と結婚との間には、いったい何があるのか。
ということでした。
この国で結婚が回避ないし忌避されているのは紛れもない事実でしょうが――
恋愛までもが回避ないし忌避されているとは、ちょっと思えません。
結婚をしている男女の出産の頻度が、今と昔とで、とくに変わらないように――
思春期以降の男女の交際の頻度も、とくに変わりがないと思うのですよね。
つまり――
今も昔も恋愛にまでは容易に至っているが、そこから先、結婚には至っていない――
よって、この国の晩婚化・非婚化は根強く続き、少子化の傾向に歯止めがかからないのだ、と――
では――
恋愛から結婚へと至る道筋を塞いでいる障壁は何でしょうか――
よく、
――恋愛はレジャーであり、結婚はビジネスである。
とか、
――恋愛は自分が交際したいと思える人を探すことであり、結婚は自分の子の親になって欲しいと思える人を探すことである。
といった主旨の話がなされます。
簡単にいうと、
――結婚は恋愛の延長ではない。
ということですね。
こういう言い方をすると――
野球でいうところの、
――ヒットの延長がホームランではない。
という言い方を思い出しますね(笑
もちろん――
男女の話は野球とは別次元ですが――
喩え話としては面白いので――
もう少しこの話を続けます。
野球では、
――ヒットの延長がホームランであり、ホームランは狙って打つものではない。
という考え方と、
――ヒットの延長がホームランではなく、ホームランは狙って打つものである。
という考え方とがあるそうです。
最近のプロ野球では、「ヒットの延長がホームランではない」という考え方が主流のようです。
今――
これにならって男女の話をすると、
――恋愛の延長が結婚ではない。結婚は狙ってするものである。
という結論になるでしょうか。
つまり――
恋愛から結婚へ至る道筋を塞いでいるものが、何となく見えてきます。
それは、
――「結婚は狙ってするものである」という発想の欠如
です。
今日――
いわゆる「婚活」の概念が広く認知されて久しいのですが――
実際に婚活を行っている人たちの中で、「結婚は狙ってするものである」と割り切っている人たちが――
はたして、どれくらい、いるでしょうか。
そんなに多くはないと思います。