おさな子の意思の弱さというのは――
実際に、おさな子に接していないと、どうにも実感できないことかもしれません。
もっといえば――
おさな子の親になってみないと……ですね。
そこには理性を薙ぎ倒す理不尽がある――
――いくらいっても、いうことをきかないのよ、この子は!
と苛立つお母さんは――
決して珍しくはありませんよね。
あの苛立ち具合から推し量るに――
相当な理不尽です。
*
おさな子のみせる衝動性や不穏性というのは――
おそらくは剥き出しの人間性です。
すべての大人が、心身の奥底に秘め、隠し持っているもの――
それを――
わざわざ、ことさらに暴き出してみせるのが――
おさな子の意思の弱さです。
大人からすれば、
――気持ちはよくわかる。
なのです。
それゆえに――
――なお、いっそう腹立たしい。
でもあるのです。
かつて自分が克服したはずの弱点を、かつてとは違った形で突きつけられる――
そこに、理性を薙ぎ倒す理不尽が根を下ろしているのでしょう。