――実在
と、
――実証
とは、違うのですね。
例えば、「Aは実在する」という命題と「Aは実在する」という命題を科学的に実証することとは――
ちょっと次元が異なるのです。
科学的に「Aは実在する」を実証するには、「Aは実在しない」という仮定を前提に据え、その前提のもとに実験や観察を行う、何らかの矛盾を導き出す――
という発想を採ります。
たしかに、矛盾が導き出せたら、
――「Aは実在しない」とはいえない。
となって、
――「Aは実在する」といえる。
と結論づけられるのです。
この区別をつけなくても何ら問題が生じないことは多いのですが――
科学的に厳密な考察をするときは、この区別は必須です。
簡単にいってしまうと――
実在を実証することはできないのですね。
実在の否定が否定されることを実証するしかないのです。