マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

「実在」と「実証」とは違う

 ――実在

 と、

 ――実証

 とは、違うのですね。

 例えば、「Aは実在する」という命題と「Aは実在する」という命題を科学的に実証することとは――
 ちょっと次元が異なるのです。

 科学的に「Aは実在する」を実証するには、「Aは実在しない」という仮定を前提に据え、その前提のもとに実験や観察を行う、何らかの矛盾を導き出す――
 という発想を採ります。

 たしかに、矛盾が導き出せたら、

 ――「Aは実在しない」とはいえない。

 となって、

 ――「Aは実在する」といえる。

 と結論づけられるのです。

 この区別をつけなくても何ら問題が生じないことは多いのですが――
 科学的に厳密な考察をするときは、この区別は必須です。

 簡単にいってしまうと――
 実在を実証することはできないのですね。

 実在の否定が否定されることを実証するしかないのです。