――AはBである。
という命題を主張するときに――
同時に、
――もしAがBであるとはいえないのなら、CはDであるはずである。
という命題も併せて提示することができれば――
その主張は、
――科学(自然科学)的である。
という評価を受けます。
いわゆる反証可能性が示唆されているからですね。
再現性と反証可能性とは――
科学的な議論をいかにも科学的にみせるには絶好の概念です。
というのは――
疑似科学では、再現性はともかく反証可能性を備えている場合というのが、ほぼ皆無といってよいからです。
疑似科学の主張では、主張を肯定するような論証には言及しても、主張を否定するような論証には言及しません。
主張すること自体に目的があるからです。
科学の主張では、主張すること自体にも、もちろん目的はあるのですが――
その目的を達成するための前提として、科学という方法論の維持・継承が据えられています。
ここが――
おそらくは科学の最もわかりにくい部分でしょう。
――なぜ、科学を維持・継承しなきゃいけないの?
という疑問をひとたび抱いてしまったら――
人は、どうしても科学の意義そのものに懐疑的になってしまうからです。
僕は、自分の胸裏において、その手の懐疑を以下のように封殺します。
――現代文明社会の快適さは、科学技術に支えられていて、科学技術は科学に支えられているから――
と――
現代文明社会を快適でないと思っている人には通用しない切り口ですが――
僕は、ひとまずは快適だと思っているので――
これでも、十分に自分を納得させられるのです。