マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

マメな人ほど「不倫」をするかも

 失敗をほとんど恐れない人は、基本的には、

 ――マメな人

 である、と――
 きのうの『道草日記』で述べました。

 が――
 この「マメさ」が、かえって仇になるケースというのも――
 決して珍しくはありません。

 その典型例が

 ――不倫

 です。

 結婚というのは――
 通常、「恋愛」という利益追求・利益獲得の局面から、「結婚」という損害抑制・損害回避の局面へ切り替わることです。

 この「恋愛」から「結婚」への局面の変化それ自体に――
 思わぬ危険が潜んでいます。

 マメな人というのは、結婚するまでは、いくらでも恋愛を楽しめるのですね。

 恋愛の失敗――つまり、失恋――の多くは、再起可能の損害を被る失敗です。

 よって――
 マメな人にとっては、どうってことのない失敗です。

 いくら失恋を繰り返していたって、その度に失恋のダメージをマメに回復させて、また次の新たな恋愛に向かえばよい――

 マメな人というのは、失恋を繰り返すという厳しい状況にあってさえも、その「マメさ」ゆえに楽天的に考えることができ――
 結果的に、「失恋を繰り返す」という厳しい状況でさえ、楽しむことができるのです。

 が――
 そうやって失恋を繰り返しながら、最後の恋愛では失恋をまぬがれ、結婚に――あるいは、結婚を意識する段階に――至った途端――
 局面が変わります。

 それまでの「恋愛」という利益追求・利益獲得の局面が、「結婚」という損害抑制・損害回避という局面へと切り替わるのです。

 マメな人というのは、失敗をほとんど恐れませんから――
「結婚」という損害抑制・損害回避の局面に至っても、「恋愛」という利益追求・利益獲得の局面にいたときの勢いをそのままに――
 新たな試行を好みがちです。

 よって――
 つい、うっかりしていると――
 失恋を繰り返していた「恋愛」の局面と同じように、また“次の新たな恋愛”に向かっていってしまう――

 この行動は、結婚する前なら、申し分のない適法行為なのですが――
 結婚したあとでは、「不倫」という立派な違法行為です。

 失敗をほとんど恐れないマメな人が、つい、うっかり「不倫」を試みてしまい、それがバレて――つまり、失敗して――その結果、

 ――離婚

 という再起不能の損害を被る――「離婚」は、戸籍に記録が残ってしまうという意味で、まぎれもなく「再起不能」といえます。

 もちろん――
 戸籍以外のことでは、十分に再起可能ですから――
 例えば、子供が車道に飛び出て轢死したり、用水路に落ちて溺死したりする意味での「再起不能」とは異なりますが――

 いずれにせよ――
 失敗をほとんど恐れない人の「マメさ」が仇になるケースというのは――
 こうした「不倫」に典型例を見出すことができます。 

 要するに――
 マメな人ほど「不倫」をするかもしれない――
 ということですね。

 誤解のないように述べておきますと――

     *

 マメであるということは――
 おそらく常に例外なく良いことであるはずです。

 何が良くないのかといえば――

 それは――
 局面の変化に気づかないことです。

「恋愛」という利益追求・利益獲得の局面から、「結婚」という損害抑制・損害回避の局面へと切り替わる――
 その変化に巧く対応できないことが良くないのですね。

 いくらマメな人であっても、局面の変化に対応できなければ――
 その「マメさ」は、いくらでも仇となりえます。