――色気は、配偶者や恋人の浮気を防ぐのに必要か。
この問いに答えるには――
まず、
――浮気
の意味が多岐にわたることを把握しておくのがよいでしょう。
浮気には――
配偶者の浮気と恋人の浮気とがあります。
「配偶者」と「恋人」とでは意味合いは異なりますから――
当然、「配偶者の浮気」と「恋人の浮気」とでも意味合いは異なります。
また、浮気には――
行動を伴う浮気と行動を伴わない浮気とがあります。
この場合の「行動」とは――
例えば、実際に逢瀬を楽しもうとするとか、あるいは、「いま浮気中」と口に出していうとか――
そういった他者が何らかの形で確認しうる兆候の全てを指します。
つまり――
浮気は、形式上、少なくとも4種類に分けられるのです。
1)配偶者の“行動を伴う浮気”
2)配偶者の“行動を伴わない浮気”
3)恋人の“行動を伴う浮気”
4)恋人の“行動を伴わない浮気”
の4種類です。
配偶者の“行動を伴う浮気”は――
不倫と同義です。
恋人の“行動を伴う浮気”も、ほぼ同義ですが――
ここでは、便宜的に区別をつけ、
――不義
と記します。
以上のことから――
浮気は、大ざっぱに分ければ、不倫や不義の浮気と不倫や不義ではない浮気との2種類があるといえます。
不倫や不義を防ぐのに色気が必要かと問われれば――
それは――
きのうの『道草日記』で述べたように――
答えは、
――否
です。
が――
不倫や不義ではない浮気について問われれば――
答えは、
――それなりの根拠をもって「可」とみなせるかもしれないが、現実的には「否」とみなさざるをえない。
となります。
ちょっと歯切れが悪いのですね(苦笑
どういうことでしょうか。
……
……
僕は――
不倫や不義ではない浮気――つまり、“行動を伴わない浮気”――については――
色気に一定の予防効果が期待できると考えています。
つまり――
“行動を伴わない浮気”については――
色気がないよりは、色気のあるほうが、浮気はされにくい――
少なくとも、そのように信じるに足る根拠を見いだすことはできる――
ということです。
その「根拠」とは――
もし、配偶者や恋人が自分に色気を感じているのならば――
配偶者や恋人の性的な関心は、そのぶん確実に自分へ向けられるはずであり――
そのぶん、他の異性へ向けられる性的な関心は弱まるはずである――場合によっては、完全に消えてなくなるはずである――
というものです。
ただし――
これは「ただの気休め」ともいえるものです。
残念ながら――
“行動に移す浮気”であろうと“行動に移さない浮気”であろうと、どちらも本質的には浮気であることに変わりがなく――
たとえ、不倫や不義ではなかろうと、浮気をする人は、配偶者や恋人の色気の有無や程度とは無関係に、浮気をしようとするでしょう。
その際に――
配偶者や恋人の色気が性的な関心を十分に満たしているかどうか――
あるいは、その結果、不倫や不義はもちろん、不倫や不義ではない浮気もしないで済んでいるかどうかは――
結局は、浮気をしようとする当人にしか、わかりません。
“行動に移す浮気”は、行動をみていればわかりますが――
“行動に移さない浮気”は、行動をみていてもわかりません――心の中まで覗かないとわからない――
が――
心の中を覗けるのは、当人だけです。
先ほど、
――現実的には「否」とみなさざるをえない。
と述べたのは――
そうしたことによります。