マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

どこからが不倫で、どこまでが不倫でないのか

 人の心に関心をもってから――
 ずいぶん経ちます。

 25年くらいでしょうか。

 ……

 ……

 人の心の問題の半分くらいは、

 ――男女のこと

 ではないかと――
 思っています。

 そして――
 そのうちの半分くらいは、

 ――不倫のこと

 ではないかと――
 思っています。

 それくらい――
 不倫のことが、人の心の問題に絡んで話題になるケースは――
 多いのです。

 そうしたなかで、

 ――どこからが不倫で、どこまでが不倫でないのか。

 というのは――
 定番の話題の1つです。

 僕個人も――
 ときどき質問を受けます。

 この問いに正確に答えるのは――
 なかなかに大変です。

 ――恋愛感情が何らかの行動に移されない限りは、不倫とはいえないのではありませんか。

 と――
 とりあえずは、お答えすることにしております。

 例えば――
 夫や妻以外の人に恋愛感情を抱いてしまった、と――

 が――
 その感情は決して表に出すことなく、じっと胸に秘めている、と――

 そういう状態にとどまっている限りは――
 その人は「不倫をしている」とまではいえないでしょう。

 何一つ行動には移されていないからです。

 では――
 どのような行動に移されれば、不倫といえるのでしょうか。

 もちろん――
 性行為や性的行為に及べば――
 不倫でしょう――全員ではないにしても、ほとんどの人が、それを「不倫」とみなすはずです。

 では――
 性行為や性的行為に及ばなければ、不倫ではないのか――

 僕は、

 ――とくに「会いたい」という気持ちしかなくて会っていれば、それは不倫ではないですか。

 と――
 お答えすることにしています。

 ――会いたい。

 の気持ちの唯一性が全てでしょう。

 場所や日時は関係ないと思います。

 夜であろうと、昼であろうと、朝であろうと――
 ホテルの寝室であろうと、カフェのテラスであろうと、公園のベンチであろうと――
 ただ「会いたい」という思いに突き動かされ、かつ、それ以外に理由がみつからないのであれば――

(それは不倫である)
 と――
 僕は感じます。

 裏を返せば――

 それ以外に理由がみつかるのであれば、
(必ずしも不倫とはいえない)
 ということです。

 例えば、商談のため、相談のため、打ち合わせのため――

 そのような理由が挙げられるのであれば――
 たとえ、その商談や相談や打ち合わせの相手に恋愛感情を抱いていたとしても――
 それは、
(不倫とはいいがたい)
 と感じます。

 なぜか――

 恋愛感情が秘められていないとはいいがたい――
 つまり、恋愛感情が行動に移されているとはいいがたい、と――
 考えられるからです。

 ただし――

 ……

 ……

 そうした「会いたい」という気持ちの唯一性というのは――
 当人たち以外には、なかなか判然としないものです。

 ひょっとすると――
 当人たちでさえ、なかなか判然としないのかもしれません。