自負心と責任感とが混然一体となっているときに人は輝く――
ということを、きのうの『道草日記』で述べました。
この傾向は――
芸術家や競技者といった人々には概して好ましいのですが――
一つだけ、この傾向が明らかに好ましいとはいえない職業があります。
政治家です。
どういうことか――
……
……
政治家の仕事は、
――政治
です。
政治とは、社会の利害調整です。
社会の利害調整は――
例えば、芸術活動や運動競技とは質が異なります。
芸術活動や運動競技では、少しくらい利己的に振る舞っても問題のないことが多く――
むしろ、それくらいのほうが、芸術家として、競技者として、素質的に優れていると、見なされえます。
が――
政治活動では、そうではありません。
政治活動では、徹頭徹尾、利他の精神が尊重されます。
自分のためではなく、社会全体のために、いま何をなすべきか――
それが、あらゆる政治活動の原点です。
よって――
政治家が、うぬぼれの自負心と勘違いの責任感とで、少しでも利己的に振る舞うと――
社会全体が迷惑を被ります。
つまり――
……
……
政治家が、自負心と責任感とで輝いているときは――
十分な警戒が必要なのです。
その自負心が、うぬぼれでないかどうか――
その責任感が、勘違いでないかどうか――
有権者は、厳しくチェックしなければなりません。