見知らぬ街を歩いていて――
下町に袋小路をみつけて――
そこに何となく情緒が感じられると――
つい分け入って――
しばらく佇(たたず)んでいたくなります。
なかなか立ち去りがたく――
気づいたら何十分も佇んでいた――
ということもあります。
一方――
……
……
雑誌のエッセイやネットの記事を読んでいても――
似たようなことがあります。
何となく情緒のあるページをみつけると――
つい読み込んでしまって――
しばらく感じ入ったり考え込んだりしたくなる――
そんなページを――
いま、
――活字の“袋小路”
と呼びましょう。
……
……
あくまで“袋小路”なのですよね。
そこに分け入っても――
どこかへ通り抜けられるわけではなく――
入ったところから、また出てこないといけない――
そういう意味では――
分け入ること自体、無駄なのですが――
でも――
そういう無駄があってもよい――
と、僕は思っています。
……
……
そこに何か情緒があれば――
活字の“袋小路”は――
単なる暇つぶしを越えて――
あなたの人生を、少し豊かにするでしょう。