自ら才知を駆使して敵を翻弄する指導者を、
――知将
といい――
自ら勇猛かつ果敢に敵を駆逐する指導者を、
――勇将
といい――
「知将」であると同時に「勇将」でもある指導者を、
――良将
といい――
それら「知将」「勇将」の枠を超えて――
帷幕(いばく)に「知将」を迎えて存分に才知を駆使させて――
麾下に「勇将」を迎えて勇猛かつ果敢に戦わせる指導者を、
――名将
というならば――
現代のプロ・スポーツの世界、とりわけ球技系において――
チームの指導者――例えば、監督やヘッドコーチなど――に求められる人材は――
「知将」でも「勇将」でもなく――
はたまた――
「良将」でもなくて――
……
……
「名将」でしょう。
……
……
おそらく――
プロ・スポーツの指導者に「知将」や「勇将」は不要です。
知勇を兼ね備えた「良将」も不要です。
そういう人材は――
チームの一員であるキャプテンにこそ適任であって――
監督やヘッドコーチには非適任――むしろ、余計なトラブルの一因となりがちです。
「名将」は、たしかに知勇を併せもちますが――
決して自ら「良将」たらんと欲しているのではなくて――
「知将」や「勇将」を掌握し、心服させ――
「知将」から知を引き出し、「勇将」から勇を汲み上げ、それら知や勇を合わせ束ねているのです。